何故?日産NV200(タクシー用バネット)10年で生産終了

ニューヨークの公募で採用されたタクシー車輌として華やかなデビューを果した「NV200(バネット)」は日本でも2010年に国内初のユニバーサルデザイン(車椅子対応タクシー)としても話題を獲得した。しかし2021年4月に生産終了が発表されました。(販売終了で記事も書きやすくなりました)

現場における考察<燃料>

タクシーの燃料がLPガス(プロパンガス)である事を知る人は少ないでしょう。燃費の安さも去る事ながら公害抑制の理由もあり殆どのタクシーはLPGを燃料としています。

<日産NV200>
ガスとガソリンのバイヒューエル車(ハイブリットに類似)で給油口が2つ、ガスは開口部に自動開閉レバーが無く鍵をつかって開けます。乗務員は2種類の燃料を管理し2箇所のスタンドへ通っています。この不思議を日産営業マンに尋ねたところ「グローバル・スタンダード」との回答でした。

<トヨタJPN(ジャパンタクシー)>
JPNの燃料についてはLPGと電気のハイブリット。問題があると言えば半電気駆動のためバッテリーが今までと扱いが変わる事でしょうか。バッテリーがあがった際に充電は出来ますが、逆は(充電してあげる)は難易度高め。直結禁止としている会社が多いようです。

現場における考察<客席>

地域性や客層により課題は変わって来ますが、田舎地区においてまず問題となったのが「乗り難さ」でした。

<日産NV200>
座席が高く、自動でステップが出るものの2段の階段を昇るのと同義で膝の悪い高齢者に嫌われる。


▲バネットの座席位置(地面から)

<トヨタJPN(ジャパンタクシー)>
やや高いながら、ステップ不用。この高さは床下に蓄電池が装備されているため。

高齢者の安全な乗車には『椅子に腰かけるように乗る』が必須でしたが、どちらも条件を満たしていません。しかしトヨタJPNが辛うじて使える高さです。

現場における考察<ユニバーサル>

『ユニバーサルデザイン』とは車椅子のまま搭乗できる仕組みを持ったタクシーで、2020年のパラリンピックの移動性拡張などを目的に国策として開発。トヨタ・日産とそれぞれ独自のタイプを販売しています。また2019年度に購入補助金が国より至急され、補助金を受けた車両には車椅子をモチーフにしたステッカーの貼付が義務付けられています。
<日産NV200>
日産のNV200にはユニバーサルとそうでない車種2種が発売されており外見ではわかりません。補助金で購入されたものならステッカーで見分ける事ができます。車椅子の搭乗には

<トヨタJPN>
歩道から乗る事を想定して客席のドアから搭乗できる斬新ともいえるモデルです。日産との違いはスロープ利用時に滑落ストッパーが装備されておらす非力な女性乗務員が肥満した男性障碍者を搭乗させる際に押し返されてしまう懸念があります(筆者体験で記載)。スロープ周りについては日産NV200に高評価があります。

日産NV200何故生産終了か?

交通事業者の専門誌「東京交通新聞」によると今年(2021年)9月から導入される国際基準となっているミラーレスに対応できない事が原因とされていました。しかし日産だけではないのかもしれませんが先代モデル(日産クルー・トヨタコンフォート)は車両寿命が60万㎞以上あるタフさが事業者に高い評価を得て来ました、しかし新車種はどうやらその堅牢さを失い故障が相次いでいるように思えます。日本の車が世界で信頼される時代に終わりが近づいているのかもしれません。