最近、報告書が日記のようになっている若い社員さんを見かけます。
上司や経営者に必要なのは「何が起きて、どう動いたか」という事実の部分です。感情に引きずられず、想いを伝える報告書を目指してアドバイスを書きました。
「感情に引きずられず、読み手に“伝わる”報告書」を書くための
①心を整えるスローガン(書く前の儀式)
②見出し・事実・説明・考察のテンプレート+書き方のコツ&見本
をまとめました。
① 書きはじめる前の「心を整えるスローガン」
報告書を書く前は、どうしても「大変だった」「褒めてほしい」という“感情の波”が筆に乗りたがります。そのため、書く前に次のスローガンを1つ唱えてください。
◆ “私は事実の整理係である”
これを唱えるだけで、
「私は当事者じゃなくて“記録する人”なんだ」
という切り替えにより俯瞰的な言葉が書けるようになります。
続いて、感情を避けるための補助スローガンです。
心を整える補助スローガン
- “評価は読む人が決める。私は材料だけを置く。”
- “事実は裁かれない。事実は並べるだけ。”
- “感情は心に置き、報告書には置かない。”
- “私は出来事のカメラマンである。撮るが写り込みはしない。”
- “主語を“私”にしない。” → 気持ちの流入を防ぐ鍵
この5つを紙にしてモニター横に貼っておくと、書くたびにブレません。
② 見出し・事実・説明・考察(結論)
報告書は「感情 → 論理」に強制的に変換する構造にすると楽です。
■ 基本テンプレート
(このままコピペして使えます)
【1. 見出し(タイトル)】
形式:何が起きたかを10文字〜20文字で表す。
例:
- 「10月受付業務での滞留発生について」
- 「配車手順変更後の影響確認」
- 「○○システム障害の発生報告」
※ここには一切の感情を入れない。“現象名”だけを書く。
【2. 事実(FACT)】
形式:誰が・いつ・どこで・何をした/起きた(だけを書く)
ポイント:
- 主観・解釈・推測を入れない
- 「思う」「感じた」「たぶん」を禁止ワードにする
- 時系列で並べると整理が進む
例文:
- 10月15日 14時頃、○○営業所の受付で待ち時間が最大40分となった。
- 受付担当A氏より「窓口が混雑している」との報告があった。
- 同日14時〜15時の来訪者数は通常比120%であった。
※ここでは「大変だった」「混乱した」などの感情は禁止。
【3. 説明(原因を“推測でなく事実ベース”で説明)】
形式:
- 事実から導ける範囲のみ説明
- 推測を書く時は必ず「◯◯の可能性がある」などと“枕詞”をつける
例文:
- 来訪者数の増加により受付処理数が追いつかなかったため、待ち時間が増加したと考えられる。
- 14時台に臨時の問い合わせが3件集中したことも要因となった可能性がある。
※「人手不足で大変だった」「Aさんが遅い」などの“評価”は書かない。
【4. 考察(改善策・今後の対応)】
形式:
- 責めない
- 自分を褒めない
- 「次にどうするか」だけを書く(未来思考)
- 可能なら数字・期間を入れる
例文:
- 受付混雑時に臨時対応が取れるよう、翌月から14時台に人員を1名増やす。
- 来訪者数の増加傾向について、11月に再度データを収集し、必要に応じて受付動線を見直す。
- 受付処理の標準手順を再確認し、新任職員への共有を強化する。
■ 書き方の鉄則(3つのスイッチ)
感情を排除するための3つのスイッチ
◆ スイッチ1:主語を「人」ではなく「現象」にする
×「Aさんの対応が遅かった」
○「14時台の処理件数が通常比で減少した」
◆ スイッチ2:形容詞を排除する
×「非常に多い来客」
○「通常比120%の来客」
◆ スイッチ3:原則“時系列”で並べる
→ 感情が入り込む隙間がなくなる。
→ 読む側も一瞬で理解できる。
■ 完成形の見本
【見出し】
10月受付業務における待ち時間増加について
【事実】
- 10月15日 14:00〜15:00の来訪者数が42名で、通常(約35名)に比べ約120%であった。
- 受付担当A氏より14:10に「待ち列が増加している」との報告があった。
- 14時台に臨時問い合わせが3件発生し、1件あたりの応対時間が平均6分となった。
【説明】
来訪者数の増加と臨時問い合わせ対応により、処理件数が追いつかず待ち時間が最大40分となったと考えられる。
【考察】
- 混雑時に臨時対応が可能なよう、来月から14時台に受付人員を1名増加する。
- 来訪者数の傾向を11月に再度測定し、必要に応じて配置を見直す。
- 標準手順の共有を強化し、応対時間のばらつきを減らす。
■ まとめ「安定した報告書を作る型」
- スローガンで自分を「感情 → 記録係」モードにする。
- 見出し → 事実 → 説明 → 考察 の順で“感情を入れない構造”に乗せる。
- 評価・感想は書かない。未来の行動を書く。
- 形容詞禁止、数字と時系列を優先。
あとがき
報告書は、ただの記録ではありません、あなたの実力を静かに伝える材料です。
丁寧に整理された一文には、「この人なら責任ある仕事を任せられる」という印象を生み、読み手の信頼を積み上げていく力があります。
だからこそ、“整った報告書”を書ける力は、仕事の基礎能力そのもの。役職に関係なく、誰が読んでもぶれない文章は、あなたの評価をそっと押し上げてくれます。
どうか覚えておいてください。文章は、最も静かで最も強い“武器”になります。一つひとつの報告書が、未来のあなたの立場と信頼を育てていくのです。
